相続税申告について
- 何から始めればいいですか?
- 葬儀関係の手配の他に次の確認をすることになります。
「相続人の確認」・・・戸籍謄本等で確認
「相続財産の確認」・・・全ての財産(債務も含む)を確認
「遺言の有無の確認」
- 相続税を申告しないとどうなりますか?
- 相続税の申告期限(10か月以内)までに申告しない場合は、通常の相続税とは別に加算税や延滞税がかかってくることになります。
また、相続税の申告期限までに申告をすることによって受けられる優遇措置(小規模宅地の特例や配偶者の税額の軽減の特例など)が適用できなくなりますので注意が必要です。
- 相続税はかかりそうにないのですが、申告は必要でしょうか?
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計算の結果、相続税が0円となる場合であっても、次に該当する特例等の適用を受ける場合には申告が必要となります。
- ①配偶者の税額の軽減の特例を適用する場合
- ②小規模宅地等の特例を適用する場合
相続人について
- 誰が相続人になるのですか?
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第1順位:「配偶者」と「子」
第2順位:「配偶者」と「親」
第3順位:「配偶者」と「兄弟姉妹」
が相続人となります。相続人 相続する割合 配偶者のみ 配偶者100% 配偶者と子 配偶者1/2
子(全員で)1/2配偶者と父母 配偶者2/3
父母(全員で)1/3配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4
兄弟姉妹(全員で)1/4なお、出生前の「胎児」も、死産とならない限り「子」として相続人となります。
- 相続人以外の者に遺産を取得させる方法はありますか?
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遺産を取得させたい者が相続人ではない場合には、同人に相続させる旨の「遺言書を作成しておくか、同人に生前贈与をおこない財産を移転させておく方法があります。
- 前妻との間に子供がいますが、相続に関係するのでしょうか?
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前妻との間の子供は相続人になります。
したがって、相続税の申告や遺産分割協議書の作成等に関係してきます。
- 内縁の妻(又は夫)は、相続人にならないのですか?
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内縁関係の場合、あくまでも法律上の「婚姻関係」にはないため、内縁の妻(夫)は相続人にならず、遺産を相続することができません。
ただし、「遺言書」を作成しておくか、生前贈与をおこなうことで内縁の妻(夫)にも財産を移転することができます。
- 相続人に遺産相続させたくない場合、どのような方法がありますか?
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①「遺言書」によって他者に相続財産を相続させる旨定めておく方法がありますが、被相続人の妻・子・親には「遺留分」という権利があるため、完全にゼロにしてしまうことはできません。(「遺留分」については「遺言・遺産分割について」で説明)
②自分の財産を生前贈与によって第三者等へ移転しておく方法もあります。これによれば、自分が死去した時に相続財産が殆どなくなっていれば、相続させたくない相続人に遺産が引き継がれるということもなくなります。
ただし、生前贈与を行う場合、被相続人が死去するまでの生計維持にとってマイナスとなりますし、また、場合により、贈与税の負担も生じます。
相続財産について
- 相続財産には何が含まれるのですか?
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現金、預貯金、有価証券、土地、家屋などのほか車両、貸付金、貴金属、ゴルフ会員権など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものをいいます。
債務や葬儀費用は相続財産から控除できます。
そのほかに以下のような財産も対象となります。- 被相続人が保険料を負担していた生命保険金、死亡退職金
- 被相続人から3年以内に贈与により取得した財産
- 相続時精算課税の適用を受ける財産
- 借金も相続しないといけないのですか?
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はい。財産だけを引き継ぐことはできません。
被相続人に特段の遺産もなくむしろ借金等が多く残っていた場合には、「相続放棄」なども検討すべきだと思います。
- 財産らしい財産はありません。なにか手続きが必要でしょうか?
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亡くなられた方が不動産を所有されている場合には、その名義を変更するために遺産分割協議書が必要です。また預金などが少しでもある場合に名義を変更するには、金融機関に備え付けてある同意書などに相続人全員の署名押印が必要です。
※相続人が一人だけの場合には必要ありません。
遺言・財産分割について
- どのような場合に遺言の必要性が強いのですか?
- 夫婦の間に子どもがいない場合や相続争いが起こりそうな場合(再婚をして先妻の子と後妻がいる場合など)、相続人以外の方(内縁の妻など)に財産を分けてあげたいときは、遺言をしておく必要性があるいえます。
- 遺留分減殺請求って何ですか?
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一定の相続人には最低限保障されている相続割合があり、これを「遺留分」といいます。(兄弟姉妹には遺留分はありません。)
遺留分減殺請求とは例えば、相続人である子供3名(長男、次男、三男)のうち、遺言によって長男に全て財産を遺されてしまうと他の2名は財産を全くもらえない事になってしまいます。
このような場合に、次男・三男が長男に対して、遺留分にあたる遺産を返還するよう請求する事ができることを「遺留分減殺請求」と言います。遺留分の割合
相続人の組み合わせ 各人の遺留分 配偶者と子 配偶者1/4、子1/4 配偶者と祖父母 配偶者2/6、祖父母1/6 配偶者と兄弟姉妹 配偶者1/2、兄弟姉妹なし 配偶者のみ 配偶者1/2 子のみ 子1/2 祖父母のみ 祖父母1/3 兄弟姉妹のみ 遺留分なし 上記の割合に相続人各人の法定相続分をかけることで、各人の遺留分が算出されます。
例題の場合、相続人の組み合わせは「子のみ」となりますので遺留分の割合は、1/2×1/3=1/6となり、次男、三男はそれぞれ財産の1/6ずつを請求することができます。
- 遺産分割の方法には、どのようなものがありますか?
- 遺産分割とは、被相続人が財産を残して死去した場合に、それら財産の帰属を決定する行為です。
まず、「遺言」が有るときにはその遺言内容に従い遺産が相続人等に引き継がれますが(指定分割)、「遺言」が無いときには相続人全員による協議で遺産の帰属を決めることとなります(協議分割)。
更に、相続人間で遺産分割協議を行うものの協議が成立しない場合には、家庭裁判所の調停・審判手続によって遺産分割を行うこととなります(調停分割、審判分割)。
- 遺言の内容と異なる遺産分割を行うことはできますか?
- 遺言がある場合でも、遺言執行者がいない場合には、相続人全員が合意をすれば遺言と異なる内容の遺産分割を行うことも可能です。
- 申告期限までに分割協議が出来ない場合はどうなるのですか?
- 相続税の申告は相続財産が分割されていない場合であっても申告及び納税の期限が延びることはありません。そのため相続財産の分割協議が成立いていないときは、各相続人などが民法に定める相続分に従って財産をもらったものとして相続税の計算をし、申告と納税をすることになります。
この場合小規模宅地の特例や配偶者の税額の軽減の特例など適用できない申告になるので注意が必要です。
贈与について
- いくら贈与すると税金がかかるのですか?
- 贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の二種類があります。通常は「暦年課税」を適用することが多く、「暦年課税」の場合、個人から1月1日~12月31日の間に110万円を超える財産を貰った場合、贈与税の申告及び納税が必要となります。
「相続時精算課税」とは親から子へ、あるいは祖父母から孫への贈与で一定の要件を満たせば適用することできます。
- 贈与の際の注意点を教えて下さい。
- 贈与は贈与者と受贈者(財産を貰った人)との間で「贈与の合意」があってはじめて成立します。
受贈者が知らない場合は贈与とは認められないので、たとえば子供のために毎年内緒で100万円ずつ子供名義の預金に入金していたとしても贈与とは認められず、被相続人の財産だと判断されることになります。したがって、契約書等で贈与の事実を立証できるようにしておくことが重要といえます。
その他、相続開始前3年以内の贈与については、その財産の価格を相続税の課税価格に加算して相続税の総額や相続税額を計算することとなります。
- 110万円以下の贈与の場合申告は不要ですか?
- 基礎控除を超えないので基本的に贈与税の申告は必要ありません。贈与の事実を明確に示すために、敢えて贈与税申告をされる方もおられますが、特段の事情がなければ敢えて申告をする必要はないでしょう。
- 贈与を受けた年中に贈与者が死亡しました。申告・納税はどうすればいいですか?
- 贈与者とあなたとの関係が被相続人と相続人である場合、又は、相続人ではないが遺言により財産を受け取る場合は、贈与を受けた財産は相続財産に戻され、これをあなたは相続で取得したものとして相続税の計算が行われます。(贈与申告は不要)
なお、贈与者とあなたとの関係が上記以外の場合、通常どおり贈与税の申告及び納税が必要となります。
相続税の軽減、生前対策について
- 配偶者が相続すれば相続税が安くなると聞いたのですが
- 配偶者が相続によって財産を取得した場合には、
①法定相続分
②1億6000万円
のいずれか小さい額を相続税の課税価格から控除することができます。したがって、法定相続分まで、または、それを超える財産を取得する場合でも1億6000万円までの財産の取得であれば、配偶者には相続税がかかりません。
- 生命保険金・死亡保険金を使った相続対策があると聞きましたが
- 生命保険や死亡保険金にはそれぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、非課税枠内であれば相続税がかからずに受け取ることができます。
たとえば、相続人が4人いる場合には、「500万円×4=2000万円」までは相続税がかからずに受け取ることができます。
また、生命保険金や死亡保険金は節税以外にも納税資金や遺産分割の際の代償分割金にも利用出来るため対策としては非常に有効です。
注意点としましてはこの非課税枠が使えるのは、相続人が受け取った生命保険金等に限定されますので、受取人に相続人を指定する必要がございます。
- 年110万円以下で子や孫に毎年贈与していますが否認される場合があると聞きました。
本当でしょうか? - はい。
子や孫名義の預金口座であっても、子や孫がその預金口座が自分のものであることを知らず管理もしていないような、いわゆる「名義預金」の場合は贈与とは認められません。
名義預金と認定されないよう、贈与契約書等の作成が重要といえます。
その他
- 税務署から「相続税についてのお知らせ」又は「相続税の申告等についてのご案内」というものが届いたのですが何かしないといけないのでしょうか?
- これらのお知らせは税務署が相続税の納税が必要又は相続税の発生の可能性があると考えている方に届きます。
したがって、相続税を申告しないといけない可能性が高く早急に対応する必要がございます。
- 夫が認知症になりました。どうしたらよいでしょうか?
- 遺産分割につきましては相続人同士の話し合いで行なわれるので問題ありませんが、遺言書が残せないという問題がございます。
遺言書を残したい場合には成年後見制度の利用を考える必要がございます。
- 申告にあたって用意すべき資料があれば教えて下さい。
- こちらの相続税申告必要書類チェックリスト(PDF)をご覧ください。
京の相続おまかせネットについて
- 手続きについては誰が責任を持っていただけるのですか?
- 京の相続おまかせネットの構成員である各士業が、実際に自分が行った手続きに対して専門家として責任を持ちます。
- 京の相続おまかせネットの強みはなんですか?
- 数多くの専門家が在籍しております、一般社団法人ふくろう倶楽部を通じてワンストップサービスを提供しているため、相続に関するあらゆる問題に偏らない提案が可能です。
- 見積もりを見てから断ることもできますか?
- もちろん結構です。出来るだけご要望に沿う形でお見積もりは致しますが、最終的にはご依頼者様の判断でお決め下さい。
- 複数の人に手続きをしてもらうと費用がかさむのでは…?
- 複数の事務所にお繋ぎする際の紹介料等は一切発生いたしませんので、基本的にはどこでご依頼されても同じこととなります。(各士業にはそれぞれ独占業務というものが法律で定められており、その部分の業務はそれぞれの士業が行う必要があります。ただし独占業務以外の業務で各士業が共通で出来る事は、担当する士業が一括で手続きをお受けいたします。)